2019年から始めた、所有している荒川区町屋の小さな空き地に賃貸住宅を作るプロジェクトです。
https://souzou-kenchiku.com/
トダビューハイツ
2019年から始めた、所有している荒川区町屋の小さな空き地に賃貸住宅を作るプロジェクトです。
https://souzou-kenchiku.com/
PROCESS
物件が建つまで建設予定地を広場として暫定利用し、荒川区の魅力に触れられるイベントを開催。イベントを通して、物件のコンセプトを決め、未来の住人さんや近隣の方と関係性を作ってみる実験です。
昨今、荒川区の尾久〜町屋エリアも新築物件が増え、景色が変わりつつあります。町が活性化するのは嬉しいですが、荒川区らしい個性ある街並みが消えるのは寂しい面もあります。それぞれの事情もメリットも分かりますが、「私がおばあちゃんになった時、私が好きな荒川区の個性は消えていないか?」と不安になりました。無個性な町に愛着を持つ人は少なく、長い目で見るとエリアの価値も下がってしまいます。
このような町の事情を見ているうちに、「荒川区らしい」住まいを自分で作ってみたくなりました。
物件建設のプロセスとしては遠回りかもしれませんが、自分の地元によりよい住まいを納得感を持って作るためにおこなっています。
EVENT
「未来の住人さん探し」を目的としたイベントを開催。内容は、町の味を知れるマルシェや、町の歴史やお店を知れる街歩きなどです。いずれ建つ物件にご興味のある方だけでなく、荒川区在住で地域をもっと知りたい方、近々荒川区に引越し予定の方、まちづくりの仕事や研究をしている方々がご参加くださいました。
また、イベントの度に、運営として地域のメンバー(中にはトダビューハイツの住人さんも)や、町のお店がたくさんご助力くださいました。イベントを通して「町の魅力はやっぱり人だなあ」と痛感しました。
「空き地レンタル」を始めてみたところ、荒川区を拠点に家具や日用品を開発・販売する『86400″ (はちろくよん) 』さんがワークショップ会場としてレンタルしてくださいました。銅版画の技法を応用し、四角や三角の形をした銅や真鍮の板に文字を浮かび上がらせて、表札をつくるワークショップ。夏休みだったこともあり、近所のお子さんが多くご参加され、路地裏に賑わいが生まれました。
イベントの詳しい様子は想像建築のサイトに掲載しています。
CONCEPT
イベントを重ね、参加者さんの声を聞いているうちに、「町を気に入って住んでくれる人」を荒川区に増やしたいという思いが強まりました。
町の魅力を作るのは人。町を好きな人が増えたら、私がおばあちゃんになった時も、荒川区はきっと個性的な町でいられるはず。そう思ったからです。
そうして考えた物件のコンセプトは「この町に長く住みたくなる」。
“町”というのがポイントです。つまり住人さんには物件だけでなくこの町(荒川区)に愛着を持ってもらいたい。
賃貸物件ですし、家族が増えるなど住人さんがどうしても引っ越しせざるえない状況が発生しますが、そんなときでもこの町内での引っ越しを選んでしまう。そんな気持ちになれる物件を目指したいと思っています。
初めて町に引っ越してきた人が町に愛着を持てる状況というのは、人とのつながりができた時だと思います。ただし、いきなり地元の人と交流を図ることはとても難しい。
なので地元の人との接点となる要素を多く用意することで、交流の機会を創出したいと考えました。
1階は町に開いたテナント、2〜3階は単身者用ルーム、屋上は近隣の方も利用できるシェア畑の3階建を想定しています。
どれも強制的な交流な場ではなく、ひとりゆったり過ごすこともできる「関わりしろ」のあるスペースにします。
TEAM
プロジェクトメンバーは、近隣の方々。中にはトダビューハイツの住人さんも。
そして、建てる物件の設計も、施工も、荒川区の企業にお願いしました。やはり町への熱量を共有できる人々と計画を進めたいと思ったからです。
物件の設計は、荒川区の一級建築士事務所 KAKINOKIさん。かわいくてホッとする空間を手がけられていること、荒川区への愛着を共有できること、物件完成後も一緒に育てていけるイメージを描けたので、依頼させていただきました。
KAKINOKIさんが大切にしている『建築をつくることは、少なからず何かを犠牲にすることがあります。その中でも大切な想いを残し、生みだせるようにしていきたい。』という優しい視線が、本物件にも活きています。
施工は三芳建設さんとハセベさん。どちらも荒川区の企業です。
三芳建設さんはトダビューハイツの施工もしてくださっています。なので、祖父の代からのお付き合い。
運営、設計、施工、すべてチーム荒川区の面々になりました。大切に育てていきます。